私と横笛 横笛協会会員が語る 笛への想い、笛とのつき合い方

過去のコラム

vol.05 驚きと混乱の初体験

vol.05 教師 大塚 修一の写真
教師
大塚 修一
Profile
2013年 琉球新報社主催琉球古典芸能コンクール笛部門最高賞合格
教師

海面を覆う真っ黒な巨大マンタ!!(誇張ではありませんよ。ガイドの高嶺さんも初だと言っていましたから。その高嶺さんはストロボなしで入ってるし、今日に限り山ちゃんはカメラを持ってないし、僕は没写真を36枚撮りきっちゃってるし、オマケにタンクの空気は空っけつ…)
興奮覚めやらぬ、その夜に『とぅばらーま大会』へ誘われ、初めて八重山民謡を聞き、次の日には三線を購入。これが、笛を始めるきっかけでした。

思い出すのが、中城公民館でのリハーサルです。
まず、軍曹H氏の机に突っ伏し、耳を澄ませている姿(かなりヘビーに威圧感があります)、ジャバM氏の腕組みと、音に繊細なヨーダS氏!、一糸乱れぬ髪型のビッグボーイT氏。そして、抱えきれないお弁当を並べている謎の女性Z氏♪(当時、先生だと知らず、近所の笛好きなおかあさんだと思っていました…すみません)、そして、熱さと緊張とおかずの多さに♥頭の中はカオス状態…、何かが弾けそうな、瞬間☆シーサーK氏の怒鳴り声!(ご本人にはそのつもりはございません。声量があるのです)

時計は22時を回り、やっと解放(教えていただいているのに、この表現をお許しくださいm(__)m)と思っていたら、着いた先は風の強い海です。(なじ??) ?K先生曰く、
「風に向かって吹いてみなさい」
「は、はー」
もうファラオを仰ぐ土下座状態。ピラミッドが出てきそうです。
師曰く、「水面に映る月明かりが、チロチロと波間に反射し漂っているさね。時に、そのように吹くさ。そしてね、寄せては還す波があるさ、またよ、大波小浪のようにさぁ…」
「……」
正に写実的描写を重視した俳人正岡子規です。
そうだ、そうに違いない!

コンクール当日の楽屋では、真地先生自ら着付けをしてくださり(どうにも苦しかったので、先生がいないときに、座波雪子先生に着付けし直していただきました。真地先生すみません)、舞台袖では、平田先生がずっと肩を揉んでくださり、名嘉山さん(第一回沖縄褐色コンテストグランプリ授賞)、洋平君は、落ち着かせようとずっと声をかけてくださいました。『ドン!』と洋平君に背中を一発殴ってもらい(以後恒例の儀式になりました)、いざ舞台へ。そして、撃沈…アハハ。

空港へ向かうタクシーの中、真空の只中で見た(音は聞こえず、全てがスローな感覚)ヘッドライトの印象だけが残っています。
以上が、初コンクールの体験でした。

東京では、宮良、前田、杉田、三人のねーさん先生達は、いつも『ダ・メ・出・し』という愛情を注入してくれます。
これからも、よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。

*編集者コメント
各方面から、「《めんごーさ》もらいますかね?」と言いながら、今年最高部門合格の大塚さんが送ってくださった、ちょっと怪しく、過激な原稿です。
三線を購入したところは理解できたのですが、それが笛とどうつながるのか、納得がいかなかったので、大塚さんにお訪ねしてみました。
三線を購入するほど感動したということであり、八重山の音楽に笛はつきもの、笛に魅せられたのだそうです。

平成26年1月10日

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